『月虹・絶滅図譜』樋上公実子
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樋上公実子展「月虹・絶滅図譜」にて発表した作品と
その絶滅への物語を掲載した小冊子です。
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■『月虹・絶滅図譜』樋上公実子
200×148mm/32ページ/オールカラー
¥1,500(税込)
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樋上公実子の描く絶滅危惧種は、どうしてこんなに凛とした平常心と
生きている誇りをもってそこにいるのだろうか。
見るたびに感銘とともに不思議に思うことだった。
絶滅危惧種は、自らの滅びすらしらない無垢のものたちなのか?
いや、そうではあるまい。
自分が、消滅していく族であることを、
そして最後のたった一匹の個体であることを良く知っている。
変異のために、近々の死を用意されていることも。
認知し尽くした上での…
(もしかしたら、時に泣いたり、時に嘆いたり、もしかしたら運命を呪ったりもした果ての)
平静であり、
それが故に独りの心の楽園に居るのだ____と。
絶滅危惧種たちは
それぞれが精神感応(テレパシー)を使って
消滅の種であることを認知しあっている。
だから平常に凛としているのだ。
私は独りではない。
なかにはもう弱っている種もいるかもしれない。
絶滅の種たちは感応しあって
平静を保っている。
幸せな時間は最期まである。
そして鉱物結晶(宝石)のような永遠性を獲得するのだ。
樋上公実子の絶滅危惧種は
ずっとずっとここに居る
あなたが見る限り
あなたがそこに居る限り
ずっとそこに居る。
(夜想編集長 今野裕一)
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樋上公実子 Kumiko Higami
画家。東京生まれ。
関西学院大学ドイツ文学科卒業。
代表作に『バンビと小鳥』(絵・文 樋上公実子/ポプラ社)、『おとぎ話の忘れ物』(文・小川洋子/集英社・ポプラ文庫)、
『柘榴姫社交倶楽部』(文・水城せとな/講談社)、『フルーツパフェ逍遥』、『フルーツパフェ幻想』(ビーナイス刊)、
『人魚の見る夢』(ステュディオ・パラボリカ刊)ほか。
個展、グループ展などで作品発表のほか、チョコレート専門店「テオブロマ」などの
パッケージイラストや本の装画も手がけている。
https://www.kumiko-higami.com/
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