東雅夫 編『幻想文学講義』
幻想文学の終刊号までに掲載された300本にもなるインタビューを厳選。
■発行:国書刊行会
■A5判・716ページ
■2012年08月24日発売
幽霊という夜の世界をいつしか合理的な説明がつく昼の世界に呑みこまれてしまう。
明治の怪談は、それが怖い。(前田愛)
非現実___幻想と現実が私の中で綯い交ぜだったわけですが、それがだんだん分離してきて、
ある時点で分離し終えた。そのときに現実と幻想は入れ替わってしまうことも考えられる。(京極夏彦)
啓蒙主義が現代を動かしているンだけど、それだけでは人間は本当は困るというころに、
ロマン主義の流れが出てきた。それが我々の中で新しい裏打ちを得て、必要性が強まったものが幻想文学(由良君良)
幻想文学の終刊号までに掲載された300本にもなるインタビューから厳選されて、700ページの本にまとめられたのが『幻想文学講義』。
雑誌『幻想文学』で言う幻想文学には、ホラーもSFも怪奇も含まれる。
その広範囲の幻想文学の作家や評論家に対して、東雅夫は、幻想文学とは何ですかと無言の問いを続けてきたような気がする。
インタビューされた作家や評論家は、真摯に幻想文学の定義について語っている。まずその集成を読むだけでも価値がある。
そしてまさに幻想文学の講義になっているのである。
意外に現実に寄せて幻想の成立を想っている方々が多い。非常に興味深い。
そして書き言葉と語り言葉の中間辺りに、非常に読みやすい文体として起こされている声は、まさに幻想の語り口でもあり、読み物としての快楽がある。
『幻想文学講義』お買い上げの方に、
国書刊行会40周年記念小冊子「私が選ぶ国書刊行会の3冊」
プレゼント! なくなり次第、終了となりますのでご了承ください。